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    第五回 「ありのままの自分を大切に」 5月22日

 

     好きな人に自分を知って欲しい。好きな人にもっと近づきたい。あの人だけには嫌われたくない……

     恋をしていると「相手によく思われたい」「相手にとって必要な人間になりたい」と思うのはごく
     自然なことです。でも、相手に好かれるために必要以上に自分を大きく見せようとしても、
     果たして恋は上手く行くものなのでしょうか。

     以下は私の中学時代の体験談です。

     私が中学2年生の時に同じクラスだった女性で、席替えで座席が前になったことを
     きっかけに、好きになった女性がいました。

     前々から気になってたので、席が近くなった時はようやく仲良くなれるチャンスが
     やって来たと思って嬉しくて仕方がありませんでした。

     その日から私はその子と多く話す機会が増え、毎日学校に通うのが楽しみで楽しみで、
     家に帰ると明日話す話題をいつもあれこれ考えていました。
     おしゃれに無関心だった自分が、かっこよくなりたくて身だしなみに力を入れたりもしました。

     休み時間授業に関して質問されることも多かったので、いつ何を聞かれても困らないように
     勉強を頑張ったり、共通の話題の一つとしてその子の好きなアーティストを自分も好きになり、
     誰も知らないようなマニアックな情報まで念入りに調べてさっそうと次の日に学校で話したり
     して、自己鍛錬と日々の努力を欠かしませんでした。全てはその子に好かれるために。

     もともと目立ちたがり屋という性格のもあったのですが、不思議なことにその子のために努力
     している瞬間は、どんなことも苦とも感じなかったんです。
     「恋のパワーはすごいな〜」と実感している時期でした。

     時が経つごとに好きな子の内面が見えてきて、それに比例して自分の中の"好き"という気持ち
     もどんどん増していきました。そんなある日、至福の生活が転機するある出来事が訪れたのです。

     きっかけは些細なことでした。

     その子がある授業の内容に関してわからないことを私に聞いてきたのですが、どう考えても私
     にも分かる問題ではありませんでした。

     本来ならばそこで、「ゴメン、わからないや」と素直に言えばいいものの、当時の私は今までその
     子に頼られてきて、教えることで“いつでも頼れる男性”になっているといい気持ちになっていた
     ので、その枠組みから外れたこの瞬間、どうしようもない焦りみたいなものが芽生えていたのです。

     「もし答えられなかったら、その子が自分を頼ってこなくなる。情けない男と思われるのではないか」

     と恐れてしまい「何とかして答えなければ」という強い念に押し付けられていました。
     自尊心が高く、変にかっこつけていたわけです。

     結局、考えても考えても答えは浮かんでこないで、二人の間に気まずい沈黙が訪れ、その子
     は煮え切らない自分の態度を見て全てを理解したみたいで、「ありがとう。他の人に聞くね」と
     言って私のもとを去って行ってしまったのです。

     やるせない気持ちでいっぱいでした。

     「これを機に仲がギクシャクしたらどうしよう」「なんて自分は頼りないヤツなんだろう」
     と、後悔の気持ちで胸がいっぱいでした。

     それからしばらくの間気まずい雰囲気が続きましたが、このまま仲がギクシャクするのも嫌だし、
     頼れない男性とずっと思われるのも嫌なので、名誉挽回の意味も込めてなんとか話題を見つ
     けて話しかけたり、困っている時に率先して力になってあげたりと、出来る限りの事を尽くしました。

     そんなことから気まずさみたいなものは徐々になくなって行ったのですが、また度々その子が
     私を頼ることがあっても、力を貸せない歯がゆさを痛感するスパイラルがあり、その度に責任感
     に駆られ一歩引いてしまい、沈黙が訪れるという悪循環の繰り返しが続いていったのです。

     結局、完全にギクシャクしてしまい何も話せることが出来ないまま席替の日が来てしまいました。
     その子とは席が離れ離れになってしまい、後に残ったものは後悔の気持ちだけで、その子とす
     れ違うことがあっても相変わらず気まずい雰囲気のままでした。

     日が経つごとに冷静になってきて、思えばあの時自分は相手の顔色ばかり気にしていて、
     嫌われたくなくて好かれたい思いでいっぱいで、目の前が見えなくなっていたんだ。

     その結果必要以上の自分を見せていて、虚勢を演じていたということに気づきました。

     気まずいと思っていたのも自分の勝手な憶測で、相手に良く思われたいために「NO」と
     言える勇気がなかったのです。

     結果としてその気持ちが相手にも伝わって、本当に気まずくなってしまったのでしょう。

     好きな人に意識してもらうために何事も頑張れるのはとても良いことですが、それは
     あくまでもひとつのきっかけなのです。
     結局は相手のためというより自分のためであって、相手によく思われることを第一目標に
     努力しているうちは、相手にとって「良い人」で終わってしまいます。

     
ありのままの自分を偽って接していて、果たして相手と長続きするでしょうか。

     いつか限界が訪れますし、切なさと虚しさしこりが残るでしょう。
     相手がたった一人の好きな人だからこそ「自分は自分」という根本的な観念を忘れずに、
     ありのままの自然体で接する心持ちが、恋愛においてはとても大切なことだと考えます。

     みなさんは、他の誰もが持っていない自分だけの才能や魅力が必ずあるはずなんです。

     遅かれ早かれ飾らない本当の自分に気がつく瞬間がこの先絶対やってきます。
     現に周りの友達も、気になるあの人も、みなさんの人柄に魅かれて傍にいるのですから。

     あなたの素敵な魅力が意中の人に伝わりますように。
 BY TAKA氏

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