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第二十五回 「今、掲示板での出会いを通じて-その2-」 11月29日 15時00分執筆
悩んでいる人の支えになりたい。暗闇を照らすための道しるべになりたい。
私は「悲しみの渦中にいる人間を救いたい」という一身で、今日までサイトを運営してきました。
そんな私ですが今一つの峠を迎えています。
この先一体何が待っているのだろう。
自分のしていることはなんなのだろう。
気がつけば私自身が出口の見えない迷いの森に彷徨いこんでしまい、
あれこれ模索しながら今を生きています。
自分に人を救える力があるのだろうか。
答えが見つからないスパイラルを、ふとした瞬間にまた考えてる。
「支えたい」という想いが原動力で今日まで歩いてきましたが、実は無力なのかもしれません。
あの出来事を通じて、何も語ってあげられない自分に無念を痛感したからです。
今から、およそ五ヶ月ほど前のことです。
私のメールアドレス宛に一通のメールが届きました。
はじめまして。私は20代のOLで麻衣(仮名)と申します。
TAKA氏さんのHP見させてもらいました。
私もちょうど今恋愛について考えていた時期なので、
TAKA氏さんのコラムにすごい共感出来ました。
コラムを書いている手前一番気になるのは読者の反応です。
みなさんの「今」を支えることを目的として創っているので、生の感想は素直に嬉しいものです。
そして最後の二行にこう記してありました。
突然ですが明日から会社で二週間の有給休暇をもらい、入院することになりました。
前から患っていた病なので、今回時間をかけてしっかりと治そうと思ったのです。
まだ、周りの誰にも言っていません。TAKA氏さんには会ったことがないし、メール
だからこんな思い切ったことが言えるのかもしれません^^
そこで、よかったら、退院してたら『お帰り』って言ってもらえませんか?
急なお願いですいませんm(_ _)m」
あまりにも唐突な展開で、驚きましたが、私のサイトとの出会いがきっかけで
私を必要としてくれている純粋な気持ちが伝わってきて、快く了解しました。
それから、ちょうど二週間くらい経ったある時、いつものようにメールを受信していると、
麻衣さんからの便りが届いていました。
「おっ、麻衣さん無事に退院出来たんだぁ、よっかったなぁ、よく頑張ったなぁ」
と思い、メールをクリックすると、予想外の光景が目の前に広がりました。
私の人生なんだったん?
一瞬、目の前の文字列が何を意味しているのが把握出来ませんでした。
そもそも、麻衣さんからのメールなのか、間違えて送ったのではないか、色んな想像が脳を
よぎりましたが、確かにそれは以前可愛らしいメールを送ってくれたあの麻衣さんからでした。
私はそのたった一行を目視した瞬間、全身が麻痺したように、硬直してしまいました。
どう返信すればいいんだ……
同時に、麻衣さんがどんな気持ちでこのようなメッセージを私に送ってきたか、色んな可能性が
彷彿します。麻衣さんとはたった数回のメールを交わしただけですし、文字中心のコミュニケー
ションでは、相手の実像は浮かんできません。
でも、そのたった3、4回のメールのやり取りの中で、私は麻衣さんのもっとも自然体である心の
部分を垣間見れた感じがしたのです。
きっと他人にはわからないほどの寂しくて辛い思いをしてきたのだろう。
飾らずに、素直な心の叫びをストレートに表現してきたからこそ、胸に響くものがありました。
たった一行に麻衣さんの全ての思いが凝縮されていたのでしょう。
それまで数々の悩み相談と向き合ってきた私ですが、答えが見つからないのははじめてでした。
5分・・10分・・15分・・・時間だけは刻々と過ぎていきましたが、最適な言葉は思いつきません。
気がついたら新着メールが届いているようでした。
なんと麻衣さんからの二通目のメールが届いたのです。複雑な思いで中身を開けて見ると、
突然変なメール送ってごめんなさい。なんかすごい寂しくなっちゃって。
自分の人生振り返ったら何だったんだろうって思っちゃって^^;
あまり気にしないでくださいね。
安堵したと同時に、妙な切なさで胸がいっぱいになりました。
最悪な状況は免れたみたいで一瞬安堵し、同時にまた前と変わらないあの無垢な
麻衣さんのメールを目に出来た瞬間、人間の二面性をダイレクトに感じ取れました。
私はそのメールに対して
「退院おめでとうございます。大丈夫ですよ……」
と送り返していました。
「ありがとうございます^^無事に退院出来ました……」
そのメールを最後に、麻衣さんから音信は途絶えてしまいました。
今彼女がどこで何をしているのかはまったくわかりません。
大丈夫。
一体何が大丈夫なんだろうか。
果たしてあの選択は正解だったのだろうか。
今でもふとあの出来事を思い出し、切なくなる瞬間があります。
結局自分には人を救うことが出来たのだろうか。
もしかしたら自分は中途半端なやさしさで傷つけているだけではないか。
悩みはの大きさは抱えている本人でないとわからない。どれだけ他人が同情の念を抱いても、
根本的解決には至らない。
自分は人の心の苦しみを知りながら、本当は、逃げているだけではないか。
そしてその裏切りで今までどれだけの人間を傷つけてきたのだろう。
またこんなことを考えている……。もう終わったことなのに。
あれからしばしの時間が流れました。
孤独を感じ、心に傷を抱えた人々はますます増えてきています。
私は何をしたいのか。この先に何があるのか。何が正しいのか。
相変わらずその答えは見つかっていません。
でも、その出口が見えてくるまでは、まっすぐ進んで行きたいと思っています。
自分の人生に「いいんだよ」と言ってあげられるその日まで。
※ ここに出てくる「麻衣」さんの名前は仮名です。
また本文に掲載されているメールの内容も、プライバシーを考慮し、一部改ざんしています。